現役最強騎手ルメールを徹底解説!
海外出身選手で歴代1位となる通算1683勝を上げているクリストフ・ルメール騎手。
本記事ではフランス出身の彼がどうして日本に来日し、どのようにして活躍することが出来ているのか。
フランス所属騎手時代から現在のJRA所属騎手としての活躍を、以下の項目に沿って徹底解説していきます。
- C.ルメールはどんな人物?
- 国内外での活躍
- 主な騎乗馬・印象的なレース
- 年収や今後のレース予定
是非、最後までご覧ください!
まずは、ルメール騎手のプロフィールや生い立ち、現在までの経歴を紹介していこうと思います。
C.ルメールのプロフィール
- 生年月日:1979年5月20日(43歳)
- 出身国:フランス
- 身長/体重:163cm/53kg
- 所属:栗東
- キャリア:9年目(JRA)
父パトリスと母方の叔父が障害ジョッキーで、馬の街として有名なシャンティイに住んでいたこともあり、3歳ごろから馬にまたがっていました。
そんな環境のおかげで、7・8歳の頃には騎手になりたいという夢を持っていたそうです。
中学から高校卒業まで
中学2年生の時父に「将来騎手になりたいから競馬学校に入りたい」と伝えます。
しかし、父パトリスはおとなしくて優しい性格のルメール少年は勝負の世界に向いていないと反対しました。
競馬学校への入学は反対されてしまいましたが、一般の高等学校に進学し、週末に厩舎に出入りし、騎乗技術を磨くことを許可され、16歳の時にはアマチュア騎手免許を取得しています。
一般の高校に通いながらの二足のわらじで、アマチュアレースに出場し続け、高校卒業時までに14勝を挙げました。
この頃になると、一度は反対していた父パトリスも息子の強い思いに押され、騎手への道を後押ししていたと言います。
※出典:父パトリスとのツーショット
フランス所属騎手時代(1999-2015)
高校を卒業後はアンドレ・ファーブル厩舎で働き、19歳の時に念願のプロ騎手としての免許を取得します。
競馬学校を経由せずに騎手になるのは障害騎手ではよく見られますが、平地騎手では稀な例でありました。
当時フランスで騎手学校に通わずに騎手になった場合は、初年度は減量が適用されないという特殊なルールがあり、初年度は9勝に終わりますが、2年目以降は減量が適用されると安定した成績を残していきました。
3年目となった2000年にはインドでのレースに招待され、G1初勝利も飾ります。
この活躍が日本人オーナー吉田照哉氏の目に止まり、機会があれば日本に来ることを勧められました。
先輩騎手で日本での実績もあるオリビエ・ペリエからも日本競馬が素晴らしいと聞いていた為、この頃から日本での騎乗も視野に入れていたといいます。
それから2年後の2002年に日本で短期免許を取得し、JRAでの騎乗を開始しました。
当初は中京や小倉といったローカルを中心にレースに出場していましたが、徐々にその実力が認められ、2004年からはG1レースの出場も果たしています。
2005年の有馬記念ではハーツクライに騎乗すると、これまで追い込み一辺倒であった同馬で先行するレースを見せ、この年無敗でクラッシック3冠を制したディープインパクトに初めて土をつける大仕事をやってのけます。
また初重賞勝利をG1で飾ったと同時に、2002年のオリビエ・ペリエから続く同レースの外国人騎手連勝記録を4に伸ばしました。
2007年に中央通算100勝、2008年には2度目の短期免許を取得しエリザベス女王杯・ジャパンカップダートで勝利し、G1勝利数を3とし異国の地での適応能力の高さを見せています。
フランス競馬でも2010年から、アーガー・ハーン4世所有馬のフランスにおける優先騎乗契約を結びました。
優先騎乗契約は日本にはない制度ですが、フランスでは主流となっていて、大手の馬主が騎手との間で優先的に乗ってもらうという契約を交わすもので、騎手からすれば1つのステータス、勲章となります。
そして優先騎乗契約を結んだ後も、国内外で結果を残し続けたルメール騎手にJRA移籍の転機が訪れます。
それが2013年の外国人騎手の通年免許開放発表でした。
そんな発表があった中で、短期免許のまま来日した2014年京都競馬場12Rで半年以上レース無しで休み明けのファーガソンに騎乗します。
レースは最終コーナー付近までいい位置につき直線で先頭に立ちましたが、先頭に立った途端に内にササりラチに激突し、ルメール騎手も投げ出されて足の骨を折る大怪我を負ってしまいました。
この怪我とアーガー・ハーン4世との契約が切れたことにより、本格的に日本移籍を目指しJRAの騎手試験を受けることを決意します。
JRA所属騎手時代(2015-現在)
2015年にJRA騎手免許試験を受験し、ミルコ・デムーロと共に、外国人として初めてJRA通年免許を取得しました。
当時のフランスでは他国との騎手免許の同時取得を認めていなかったことから、フランス騎手免許を返上した形でのJRA騎手免許取得となりました。
同年4月にレースデビューし、大阪杯や神戸新聞杯などの重賞で勝利を続けます。
一方、G1では好騎乗を繰り返すも優勝することは出来ず、同期のデムーロ騎手がいきなり皐月賞と日本ダービーの2冠を制覇したことで悔しさと情けなさを感じていたといいます。
そんな思いの中迎えたG1・16レース目の12月13日阪神ジュベナイルフィリーズ。
これまで3戦でコンビを組み2勝を挙げているメジャーエンブレムとのコンビで出場します。
好スタートを見せ先頭に出ると、リラックスした状態をキープしたまま最後まで他を寄せ付けず圧倒的な走りを見せ、ルメールをJRA騎手となってからは初のG1優勝に導きました。
2016年にはサトノダイヤモンドとコンビを組み、皐月賞と日本ダービーを落としたものの最後の1冠菊花賞を取り、迎えた年末の有馬記念もキタサンブラックを破っての勝利を果たし1年を通して安定した活躍を見せました。
※出典:激しい競り合いを制した有馬記念
2018年は日本競馬界に衝撃を与える年となります。
桜花賞をアーモンドアイで優勝し牝馬G1・6レース完全制覇を達成すると、秋華賞・菊花賞・天皇賞(秋)・JBCスプリントを立て続けに制し、史上初の4週連続G1制覇を成し遂げました。
ジャパンカップもアーモンドアイで制し、年間G1・8勝・年間勝利数215勝という驚異的な記録を打ち立て、同年の騎手部門の表彰を独占し騎手大賞も獲得します。
この年の活躍で日本競馬の記録を次々と塗り替え、たちまち日本競馬界のエースへと登りつめました。
その後も現在までコンスタントに勝ち続け、現役最強騎手の座に君臨しています。
ルメール騎手といえばこの馬・このレース!!
ここからはルメール騎手がJRA所属騎手となった2015年以降にタッグを組んだ馬や印象的なレースを紹介します。
タッグを組んだ名馬
レイデオロ
レイデオロ担当の藤沢調教師は素晴らしいトレーナーとして知られ、多くのG1レースを勝利していますがダービーだけは勝ったことがありませんでした。
それを知っていたルメール騎手は藤沢調教師のためにも、必ず日本ダービーを獲りたいと考えていたそうです。
そんな強い思いを持って挑んだ2017年の日本ダービー。
スタートで出遅れるも、ペースが遅かったため後方から一気に2番手まで押し上げました。
終盤までじっと我慢し、最後の直線で一気に抜き去り2位に3/4馬身差をつけて、日本ダービー制覇を果たしました。
レース後には「藤沢先生に初の日本ダービー制覇をプレゼントすることが出来てとても嬉しい」と語っています。
※出典:レース後のルメールと藤沢調教師
アーモンドアイ
ルメール騎手を日本競馬史上初のG1・8勝に導いた、誰もが認める名馬アーモンドアイ。
2020年まで現役で活躍し、後方からの差し切り競馬を得意としていますが、2018年のジャパンカップでは自ら先行競馬を行い、当時の世界レコードを上回る2分20秒6のレコードで勝利を収めました。
最終的にはディープインパクトを超えるG1タイトルを9つ手にしている歴代最強馬です。
印象的なレース
2016年有馬記念(G1)
サトノダイヤモンドに騎乗して挑んだ有馬記念。
まずまずのスタートを切り、中盤あたりで先頭集団に並ぶと残り100mほどのところでキタサンブラックを捕えて、最後はクビ差差し切り優勝を果たしました。
※出典:大接戦となったゴールの瞬間
当時の最強馬「キタサンブラック」を破っての勝利は、多くの競馬ファンを熱狂させました。
主な達成記録
記録名 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
年間最多勝 | 215勝 | 2018年(772鞍騎乗) |
1日最多勝 | 8勝 | 2016・2018年 |
騎乗機会連勝 | 7連勝 | 2019年10月19-20日 |
1日最多連対 | 9連対 | 2016・2017・2019年 |
騎乗機会連続連対 | 10連続 | 2016年11月5-6日 |
年間G1最多勝 | 8勝 | 2018・2020年 |
連続週G1制覇 | 4週連続 | 2018・2020年 |
JRA通算勝利数は1683勝で歴代7位となっています。
C.ルメール騎手の年収は?
騎手の年収は中央競馬と地方競馬でそれぞれ異なりますが、JRA騎手の平均年収は1,000万円とも言われています。
騎手には2つの働き方があり、1つめは厩舎所属で2つめはフリー所属になります。
年収の計算について
騎手の年収の計算は次のように算出できます。
- (レース賞金×5%)+レース出走手当+調教馬の調教手当
ただし、調教料は1頭数千円で1日5頭まで。平地レース賞金=5%、障害競走=7%といった決まりもあります。
今回はJRA所属騎手となった2015年から2022年までの年収をまとめました。
年 | 年収 | 騎手の平均 |
---|---|---|
2022年 | 1億6967万 | 3809万 |
2021年 | 2億5760万 | 3988万 |
2020年 | 2億6202万 | 3966万 |
2019年 | 2億565万 | 3766万 |
2018年 | 2億6659万 | 3948万 |
2017年 | 2億4248万 | 3936万 |
2016年 | 2億3627万 | 4019万 |
2015年 | 1億3648万 | 4037万 |
ルメール騎手のJRA8年間のトータル年収は17億7676万円、平均年収は2億2209万円。
2021年に発表された世界のジョッキー生涯獲得賞金ランキングでも17位となっています。
騎手の平均と比べてもかなりの差があり、多くのレースで勝利を挙げていることが分かります。
また、このランキングでは上位陣を日本勢が占めており、世界的に見ても日本のジョッキーの年収の高さや競馬人気が伺えます。
まとめ
本記事で紹介したルメール騎手は、フランス競馬界から移籍し日本競馬界の記録を数多く塗り替えてきた、誰もが認める実力派ジョッキーでした。
成績から見ても「現役最強騎手」といって良いでしょう。
こちらの記事を読んでルメール騎手の走りを見たいと思った方は、実際に競馬場に足を運んでみてください。
ルメール騎手の予定は次の通り。
日付 | 会場 | レース名 | 馬名 |
---|---|---|---|
5/14 | 東京11R | ヴィクトリアマイル(G1) | スターズオンアース |
5/28 | 東京11R | 東京優駿(G1) | スキルヴィング |
どちらもG1で重要なレースなので、熱い戦いが期待できそうです。
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